奴はまだ子猫の時分に実家へやってきたのだが、半年程して再会するとすっかり忘れていて一目散に逃げて行った。その半年後に再会した時もやはり忘れていて、他の部屋へ逃げはしなかったが数時間は私の視界を避けて距離を置き近付かなかった。その半年後に再会した時は一瞬警戒したのだが、名前を呼ぶと思い出した。
あいつは悲しいくらい鈍臭い奴だ。
実に頭が悪い。
記憶力がお粗末だ。
来週、また実家へ帰る事になるのですが、今度は一瞬たりとも警戒せずに私の事を思い出すのだろうか。思い出したら出したで、その後は図々しく様々な要求を求めてくる厚かましい野郎なのだ。ちょっと受け口の間抜けな顔を見ているだけでほのぼのするから好きだけど。ま、結局は好きなのだから良いや。