ないまぜ日記

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エストニア、フィンランド旅行記 その12(最終回)

新鮮な記憶の間に旅行記を書くつもりが、帰国してからふた月以上も経ってしまった。記憶が風化してきて随分と昔のことのように思える。あー、またバルト海に行きたい。今度はラトビアリトアニアにも行きたい。マイレージは今回の旅行で使い切ってしまったので、また地道に貯めている。3年の間にまたヨーロッパ便で使えるくらいのマイレージを貯められるか分からない。マイレージとは別に地道に旅費を貯めようとしているのだが、マイレージとポイントに踊らされている。とうとうポイ活を始めてしまった。このポイ活、何やら微妙にさもしい気分になるのが哀しい。

 

2019年6月14日(金)

ヘルシンキ四日目


あっという間に旅程最終日になってしまった。

あー、日本に帰りたくない。

いっそのことタリンに戻りたい。

 

いつも旅行へ行くと帰りたくない病が発症する。早くうちに帰りたいと思った事がないのだ。うちに帰る喜びというのがあるはずなのに、私はいつも帰りたくない。もっと長く旅行すれば帰りたいと思うのだろうか。帰る所があるから帰りたくないのか、帰る所がないと帰りたくなるのか。


アパートホテルのチェックアウトは11時までだった。9時過ぎまでゆっくり眠ってから身支度をして、スーツケースに全て詰め込んだ。日本への便は夕方だ。時間はまだ十分にある。チェックアウトしてフィンランド国立博物館へ行きランチビュッフェを食べ、中央駅から空港行きのフィンエアーシティバスに乗ることにした。ヘルシンキ空港からヘルシンキ中央駅には電車で移動したのだが、空港駅からターミナル2まで意外と遠かったし、帰りはバスにしてみようと思ったのだった。機内持込にする物(バッテリーやら青竹踏みやらカメラのレンズやら、意外と重たい)を持ち歩かなくて良いように、博物館へ持っていく物だけ別のバッグに詰めて置く。

 

f:id:bs313:20190827011252j:image ヘルシンキ中央駅
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ヘルシンキ中央駅の地下にあるロッカー(ロッカーはたくさんあるのだが、使用中が多くて空いている所を探すのに手間取った)にスーツケースと機内持込バッグを押し込んで身軽になったところで博物館へトラムで向かう。つもりだったのだが、博物館は11時開館だと思い出した。まだ30分はある。今朝はチェックアウトする前にゴミを捨てなければならなかった為、この日はコーヒーも飲まずだ。駅のカフェでカフェラテをゆっくり飲んでから博物館へ行く事にする。

 

f:id:bs313:20190826225853j:image  フィンランド国立博物館

昨日は午後から晴れ間があったが、この日は朝からずっと曇っていてショボショボ雨が降っていた。博物館に着くと開館まであと二分。立派な熊に迎えられカメラを濡らさない様に写真を撮っていると声を掛けられた。フィンランド語で覚えたのは、ありがとうを意味する「キートス」だけだ。とりあえず外国語ではありがとうを覚える。とにかくありがとうを連発しておけばなんとかなる。とは言え、フィンランドでは英語が普通に通じるので得意になって「キートス」と言うと、フィンランド語で返ってきてしまい「ごめん、知ってるのキートスのみ!」と説明する羽目になる事が何度もあった。

 

ヘルシンキでは「何処から来たの? 」と良く話しかけられた。観光客に対して親切な人が多いと思う。軽薄さとは無縁の素朴で実直な人柄というか、治安の良い証拠なのだと思う。ナポリマドリードで感じた「周りはみんなスリだと思え!」くらいの警戒心をちっとも感じなかった。勿論、ヘルシンキの中でも地域差はあると思うが圧倒的な長閑さがあった。

 

博物館にはフィンランドの貴族のお屋敷を再現した部屋もあって、そこにいた博物館の学芸員さんだろうか、色々と解説してくれたのだが、とても面白かった。昔はフィンランドでは夏野菜の栽培は基本的に無理だった。気温も日照時間も足りない。それでもキュウリを食べられると言うことは自宅に温室があるという証明なのだと。イギリスと同じだ。キューカンバー・サンドイッチが午後のお茶に出てくるのは、当時はキュウリが贅沢な食べ物だったからだ。お茶に呼ばれて振舞われるキューカンバー・サンドイッチは「うちはキュウリを栽培する温室があるほどお金持ちですよ!」という意味のある寸劇なのである。そしてそれはフィンランドでも同じだった。説明を聞いて「これこそ虚栄の市!」と言うと、学芸員さん大喜び。「そー、そーなんですよ!」と益々調子が上がって、オレンジやレモンのような柑橘類はとても高価だったと教えてくれた。ありがとう。本当に面白い話が聞けた!

 

最終日のお楽しみフィンランド国立博物館のランチビュッフェへ行った。腰が痛いので博物館内の見学もそこそこに、殆どランチを食べに行ったのと同じだ。そしてやはりこちらのランチビュッフェも大盛況であった。前菜やスープ等、アテネウム美術館の方が美味しかったかな。その日のメニューにもよるだろうし、そこは好き好き。ヘルシンキの美術館に行くならばランチビュッフェがあるかを確認せられたし! ディナーよりお得に色々食べられる。

 

さて、ランチを鱈腹食べて中央駅にスーツケースを取りに戻る。フィンエアーシティバスの運行本数はは電車よりも少ない。バスはギリギリにしか来ないので時刻表を事前に確認しておくのをお勧めする。中央駅と隣接するバスターミナルの一番端っこで、ベンチも少ない。私は乗り場からちょっと離れたベンチで待っていた。その間に日本人女性の二人組がバス乗り場にやってきて、乗り場はここで良いのか?トイレに行きたいけど何処だろうとか、色々と話している日本語が響き渡った。

 

そう言えば、今回の旅行中は一度も道を聞かれなかった。何故かいつも旅行中なのに道を聞かれる。しかも「どう見ても地元の人だろ!」みたいなばあちゃんから聞かれたりする。ヨーロッパの街で白人から道を聞かれると「だから謎の東洋人に聞くなって!」と心の中で叫ぶ。

 

「謎の東洋人に道を聞くなって!」と心の中で叫ぶようになったのは、ロンドン地下鉄のボンド・ストリート駅から始まった。ジャック・タチみたいなベージュ色のレインコートを着たフランス人のあのおっちゃんは今頃どうしているだろう。マーブル・アーチ駅を「まーべるあーしゅ」とフランス語読みしてくるおっちゃんに対し「のーんふらんせー、あんぐれーしるぶぷれ!」と必死に頼んでもおっちゃんは「のんあんぐれー」と言って頑なにフランス語で聞いてくるというシュールな状況だった。なんとかおっちゃんと意思疎通が出来たのが奇跡だったかもしれない。そして通勤時間帯で周囲には身なりの良いサラリーマンがわんさかいたのに誰も助けてくれる人がいなかった。パブリックスクール出の坊々みたいなエリートサラリーマンならフランス語を話せる人がいてもおかしくないだろうに。ロンドンって冷てーなーと思ったのも確かだ。通勤中に余計な事をしたく無かったのかもしれないが。黄色いのと蛙がなんか騒いでると思われていたかもしれない。

 

話が逸れた。

 

件の日本人女性が二人で悩んでいた疑問に私は全て答える事が出来た。しかし、面倒臭いので話しかけなかった。もしバスに乗らない様子だったら話しかけようかと思っていた。時間が来て私は早々にバスに乗り込むと、最後に二人が乗り込んできた。バスはガラガラで席は選び放題だったのだが、その二人は私が座った席の通路を挟んで同じ列に座った。もうなんか、会話が全部聞こえる。しかも一人はかなり声が大きいので聞きたくなくても聞こえる。

 

面倒臭いと思って二人の疑問に知らんぷりしていたのだが、「ボーディングパスっていうのがメールできたんだけど、これってなんなの?」と二人が話しているのが聞こえて流石にこれは説明した方が良さそうだと声をかけた。

 

するともう矢継ぎ早に質問された。ボーディングパスからタックスリファンドから、疑問だらけだったらしい。はいはい、全てにお答えしますよ。助かりました!と感謝されて多少の罪悪感を感じるくらいだった(笑)。お役に立てて何よりだ。

 

定刻の丁度2時間前に空港に到着し、特に買うものもないので搭乗ゲートへ向かうと、なんとそこは機体までバスで移動するゲートだった。私が乗った便は通常ボーディングブリッジが接続されるゲートらしいのだが、当日はどうも他の便が遅れているらしく止むを得ずのゲート変更だった様子。いやまー、仕方ないけど。バス移動だと搭乗に時間がかかるので面倒臭い。

 

搭乗したらしたでかなりの時間を爆睡して映画などもほとんど見なかった。それでもダンスクな顔をしたヴィゴ・モーテンセンがイタリア系を演じるというミスキャストじゃね?と思われた「グリーン・ブック」を見た。アカデミーが好きそうな良い映画だった。ヴィゴがイタリア系に見えなくもないのにまず驚いた。

 

ヨーロッパから9時間半で日本に着いてしまった。すごいな。ヘルシンキすごいよ。直行便がない国にはヘルシンキ経由が良いという結論に達して旅行記を締めくくるとする。