ないまぜ日記

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とらわれて夏

とらわれて夏」がスカパーで放送されたので録画しておきました。
ジョシュ・ブローリンは「ジョナ・ヘックス」での『深ぞりし過ぎてな』というセリフに痺れた。この映画は日本でビデオスルーなのですねー。わかる気がするけど、でも好きな人は好きだと思うなー。マイケル・ファスベンダーがサイコ野郎を楽しそうに演じてるし。

で、「とらわれて夏」です。

完璧な昼メロでした。でも昼メロな展開も役者が旨いと陳腐にならない見本のような映画でありました。悪役面のジョシュ・ブローリンが脱獄犯を演じるのでタイプキャストの典型だとも言えますし、ケイト・ウィンスレットが繊細で情熱的な女性という、これもタイプキャストでしょう。でもタイプキャストというのはそれだけ似合う役だというわけで、脚本さえしっかりしてれば胸を打つ物語になる事を証明してくれた。

晩ご飯も朝ごはんもおやつにピーチパイまで作ってくれ、車を修理してくれ、電球の球変えも暖房器具の部品交換もしてくれ、息子に(自分にまで)野球を教えてくれ、母親にも雑に扱われる近所の障害を持つ少年を厄介者扱いせず公平に接する、掃除も洗濯までしてくれる男。

こんな野郎、絶対に存在しません(笑)。ここまで理想化された夫像を創造した作者ジョイス・メイナードの願望なのだろうなー。ここまでくると昼メロというよりメルヘンです。それを、ジョシュ・ブローリンがさらりと演じています。単純に母性と父性を定義していると、どこぞの女性の地位向上を訴える先生は憤りそうな気がしないでもない(笑)。

脱走犯と恋に落ちる。メロドラマの典型です。しかし、ピーチパイを作るジョシュとケイトの艶かしさは二人が恋に落ちるのがお手軽だ安直だと言ってられない濃密な甘い匂いが立ち込めていました。それを息子が気付かないわけがない。適材適所。需要と供給がぴたりと一致した奇跡の組み合わせというわけです。少年が工具の名前を覚えガールフレンドの前で恥をかかないようにタイヤ交換を教えてくれる男が、バットは短く持てと教えてくれる男が、この家には必要だったのだ。

結局、脱獄犯を擁護するわけにいかずそのままジョシュは刑務所へと連れ戻されてしまいます。私はそこで物語が終わるのだと思っていました。レイバーデイの甘く切なく熱い数日が終わるんだなと。少年はレイバーデイが終われば進級して少し大人になり母は愛を渇望する元の生活に戻るんだなと。

それがどっこい。「プッシング・デイジー 恋するパイメーカー」な展開でありました。かつての少年は脱獄犯に教わったピーチパイが忘れられず、パイメーカーになったのです。パイ作りで成功したかつての少年を雑誌で見たジョシュが手紙を書いて寄こす。ナレーションがトビー・マグワイアというのが非常に効果的でした。巧いなー。

美しいメルヘンでした。