ないまぜ日記

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夜中の薔薇

先日、陽が落ちてから近所のスーパーへ買い物へ行った時の事。ふわ〜っとどこからともなく良い香りがしてきました。あの花が今年も咲いたんだなぁ。調べてみようと思いつつ忘れていたんですが、実に良い香りがします。初めてドバイへ来た2年前の5月、色んな物件を下見している時、今住んでいるアパートの敷地内で良い香りがするのでキョロキョロしていたら、白い花が咲いていました。香りを嗅いでみると間違いなく漂ってきた良い匂いは果たしてこれでした。今の今まで花の名前を知らないままでしたが、ちょっと調べてみるとどうやらPlumeriaです。木の幹や枝にこぶのようなものがある。暗い中フラッシュを焚いて、しかもiPhoneで撮ったので写真が良くありませんが、Plumeriaで間違ってないんだろうか。

「夜中の薔薇」という向田邦子のエッセイにシューベルトの「野ばら」の歌詞を勘違いしていたと書いてあります。

童は見たり 野中のばら

野中のばら」を「夜中のばら」と勘違いしていた、というわけです。このエッセイは向田女史のお手並みが見事で何度読んでも面白い。久世光彦が「夜中の薔薇/向田邦子新春スペシャルドラマ」でこのエッセイを原案にしています。久世はドラマの中で童が見てはいけない夜中の薔薇、男女が絡んでいるところをいしだあゆみケーシー高峰に演じさせています。このキャスティングを思いつくのは久世しかいない! そしていしだあゆみに「港が見える丘」を歌わせる。この歌声が実に良かった。この曲、久世は死ぬ時に聞きたい曲だとエッセイで書いてましたが、きっと倒れた時にこの曲の事を思い出す余裕もないまま逝ってしまったんでしょう。向田女史とは死に様を語り合った事もあったそうですが、爆死も良いわねと言っていた女史は本当に台湾上空で爆死ときている。巡り会わせって奇妙です。

「夜中の薔薇」には暗がりの方が薔薇は余計に香るとエッセイで書いてあって、ドラマの中でもこれが重要なセリフになっていました。面白かったなー、このドラマ。こういう上質なドラマを作る人は日本にはもういなくなってしまったんでしょうか。日本のドラマを見なくなって久しいから知らないだけでしょうか。もしかしたら面白いドラマを作る人がいるのかな。身につまされるようなドラマは作るのにも勇気がいるでしょうしスポンサーが付かない事には民放では難しいですね。NHK大河ドラマでも幼稚園のお遊戯会みたいですしねぇ。向田女史があと10年生きていたら「寺内貫太郎一家」とはまた違う凄いドラマが向田・久世コンビで出来たと思うんですけど。惜しいなぁ。

夜にスーパーへ出掛けたお陰で、花の香りはギラギラした強い日差しの下よりも暗がりの方が強く感じるのを実感できました。